編集者って速読できなきゃいけないの?
本日2回目の更新です。
今回は「編集者×本を読む」というテーマで少し考えてみたいと思います。
編集者という仕事は、端的にいってしまえば「本をつくること」です。
で、もちろん本をつくるからには「本を読む」必要もあります。
ひとつひとつの読書が、モロに仕事のスキルを上げてくれる、
毎日、どの瞬間でも勉強できる仕事なんです
(読書だけが勉強じゃないですしね、それこそ街の看板を見るだけでも勉強になります)
で、入社するまで、ぼくはそんなに「読書」をするタイプではありませんでした。
多くて月に2、3冊くらいという、超平均的なものだったでしょう。
で、出版社に入ることが決定してまず思ったのは2つ。
「あ、やべ、おれ全然本読んでねーぞ」
「てか、おれ本読むの遅いぞ」
正直、ちょっとドギマギしておりました。
というのも、編集者たるもの1日1冊読むのは当たり前で、
速読の達人ばかりだと思っていたからです。
入社してからの実感と照らし合わせても、これ、あながち間違いじゃないんですよね。
本当に早い編集者さんは1日1冊以上読むこともあるんです!!
で、ぼくはといえば、
いま平均すると月に7,8冊になっております。
要するに「速読できていない」のです。
では、なぜほかの人は速読できているのに、
ぼくはできていないのか。
考察するに、「読むのが早い」編集者さんは「はじめに」と「目次」に力を入れて、あとは流し読み(ってか読まないケースも)。
ぼくは「精読」で、最初から最後まで、順番通りにきっちり読んでいくから。
これが大きな違いなのかな、と思っております。
なんで「はじめに」と「おわりに」に力を入れて読むのか―ー
それは、編集者が一番力を入れてつくるのがその2つだから。
もちろん、タイトルが一番大事なのですが、
タイトルをじっくり読む人は正直あまりいません。
(そういう意味では、タイトルは無意識に訴えかける役割があるのかも)
本って本当に「見た目」でベストセラーになるかどうかが決まるんです。
それは「カバー」や「帯」といった外見だけの話じゃなくって、
ぺらっとめくったときの「中身の見た目」も買うor買わないに超影響してるんです。
見た目で「役立ちそう」「おもしろそう」「わかりやすそう」が判断され、
全部満たさなくても、ひとつでもどこかのハードルでつまづいたら
買ってもらえないんです。。
だから、本をつくる側の人は
仕事のためなら、使える部分、役に立つ部分をしっかり読むのは当たり前。
けど、ぼくにはそれができません。
昔からそうだったんですが、
本を読むときは前から順番に読んでいく。
途中で読むのをやめたことは一度もありませんでした。
大人になってから、
「それもったいないよ」「大事なとこだけ読めばいいんだよ」
「おもしろくなかったら、途中でやめればいいのに」
とアドバイスを何度ももらいましたが、
いまでも最後まできちんとその本とお付き合いするようにしています。
それは、途中でやめるのが精神的に変な感じがするのに加えて、
本をつくった人と本そのものへの礼儀だと思うから。
いまはそんな気がしています。
べつにだれに見られているわけでもないのですが、
少なくとも自分がつくる本は最後まで丁寧に寄り添っていたい。
なら、ほかの本にもそう接するべきなんじゃないかな、っていま思っています。
もちろん、「どこが一番肝なのか」と、
「はじめに」「目次」にはいつも力を入れて読むようにしていますが、
そこだけじゃなく必ず最後まで読んでいます。
速読はできなくてもいい、
1冊1冊の本と丁寧に付き合いながら、
1冊1冊丁寧につくっていきたいと思ってるのでした。