徒然なるまま感想文52『いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55』
こんにちは、SIRISIRIです。
今日は、昨年末に発売に鳴って、
いま「子育て」ジャンルでは一番売れているのでは、という本を取り上げたいと思います。
Amazonさんをみると、「発売たちまち6万部突破!」とあり、
現在は10万部突破を目指して突き進んでいる印象の本書。
以前、育児書を何度か取り上げたときに、
「子育て本のベストセラーの特徴として、
・メソッド感が前面に出ていない
・説教くさくない
・「失敗からの教訓」を伝えて、
「味方」感を醸し出している」
的なことを挙げましたが、
今回取り上げる本を、ある意味、その逆をいく感じといっても
よいかもしれません。
良い意味で、「自分の考え方」を見つめ直すきっかけになった1冊でした。
『いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55』
(トレーシー・カチローさん著、鹿田昌美さん訳、ダイヤモンド社さん)
本書は「翻訳・子育て本」になっておりまして、
ジャーナリストとして最新の科学に触れてきた著者が
その知識をどうすれば「子育て」に活かせるのかを書いた1冊になっています。
本書がほかの本を大きく違うところといえば、
強調されているように「科学的エビデンスベース」な点でしょうか。
最近のビジネス書にもいえることですが、
この「科学的エビデンスにいかに基づいているか」というのが、
手に取られるひとつのハードルになっているような気がします。
いかに「メリットがある本」だと端的にお客さまに伝えるか――
こう考えたとき、「科学的エビデンスに基づいている」というのは手っ取り早くそう認識してもらいやすい「ひとつの手段」のように思います。
ですので、いくら良いことを言っていたとしても、
「精神論」は受け入れられがたいような……そんな市場感でしょうか。
本書は、子育てをそんな「科学的」に検証した本になっており、
メソッドもすごく具体的。
・「努力」をほめる
・「生身の相手」からしか学べないのはなぜ?
・「泣かせっぱなし」という睡眠トレーニング
・「母乳を飲む」と少しだけ頭が良くなる
・親の「もっと食べなさい!」が好き嫌いをつくる
・「ピカピカ光るおもちゃ」なんていらない
・音楽を習うと賢くなる?
といったことが、「なぜ『いい!』といえるのか?」
についてしっかり触れて、解説されています。
逆にいうと、少しウィークポイントかも、と思ったのが、
子育て本特有の「読んだあとのほっこり感」があまり感じられなかった
という点です。
これだけ科学的に検証されると、少し寂しいような・・・
そんな読了感でもありました。
こういった「気持ちの穴」は、本文の終盤や、「おわりに」に補完する役割を担わせることもできるのかな、と、製作側として「自分だったらこうつくったかも~」と学びながら読み終えました。
「科学的エビデンスの基づき方」にも善し悪しがあって、
どこまで踏み込むか、バランスをどうするか、で
読了感に変化が出ることを感じた1冊でした。
子育てにお悩みの方は、すべてがすべて「すぐ役に立つ!」とは言い切れないものの、きっと役に立つ要素もあると思うので、ぜひお読みいただければ、と思います!